ドローンショーの魅力と法的規制を乗り越える方法

近年、目覚ましい進化を遂げるドローン技術は、エンターテイメントの世界にも革新をもたらしています。その最たる例が「ドローンショー」です。夜空を舞台に、無数のドローンが織りなす光の芸術は、従来の花火大会とは一線を画す、ダイナミックで創造性豊かな スペクタクルとして、多くの人々を魅了しています。
しかし、この革新的なエンターテイメントを円滑に、そして何よりも安全に実施するためには、避けて通れないのが「法的規制」の壁です。「ドローンショーをやってみたいけれど、法律が難しそうで…」と感じているドローン事業者の方も少なくないのではないでしょうか。
本記事では、ドローンショーの息をのむような魅力に迫りながら、事業者が必ず押さえておくべき法的規制について、丁寧に解説します。さらに、これらの規制をクリアし、ドローンショーを成功に導くための具体的な方法や、専門家ならではの視点からのアドバイスも盛り込みました。この記事を読めば、あなたもドローンショーの開催に向けて、力強く一歩を踏み出せるはずです。
1.なぜ人々は魅了されるのか?ドローンショー3つの魅力
ドローンショーが、花火に代わる新たなエンターテイメントとして急速に注目を集めているのには、理由があります。ここでは、その 主な魅力を3つのポイントに絞って解説しましょう。
1-1.サステナブルな夜空の芸術:環境への優しさ
従来の花火は、火薬を使用するため、どうしても煙や騒音、そして燃えカスといった環境への負荷が懸念されます。しかし、ドローンショーは、電気エネルギーを動力源とするLEDライトなどを活用し、プログラムされた飛行によって光の演出を行います。
このため、煙や有害物質の排出がほとんどなく、環境に優しいエンターテイメントと言えるでしょう。自然豊かな場所や、環境意識の高い都市部でのイベント、企業のイメージ戦略としても非常に有効であり、「持続可能な開発目標(SDGs)」への貢献も期待できます。
1-2.無限の可能性を秘めた演出:カスタマイズ性と表現力
ドローンショーの最大の魅力の一つは、その圧倒的なカスタマイズ性です。プログラミングによって、ドローンは複雑な 幾何学的図形はもちろんのこと、企業のロゴやメッセージ、アニメーションキャラクターなど、ありとあらゆるデザインを夜空に描き出すことができます。
さらに、多数のドローンがシンクロして動くことで、立体的な3D演出や、まるで生きているかのような躍動感あふれる表現も可能です。観客は、予測不能な光の動きと、想像を超える美しいフォーメーションに、驚きと感動を覚えるでしょう。
1-3.安全性を追求したエンターテイメント:リスクの低減
花火大会では、火薬の取り扱いや不発弾など、常に事故のリスクが伴います。もちろん、ドローンショーも、機体の落下や制御不能といったリスクが皆無ではありません。しかし、適切な機体のメンテナンス、熟練したオペレーターによる操作、そして後述する法的規制を遵守することで、火薬を使用する花火と比較して、格段に安全性を高めることができます。
特に、近年では、機体の異常を検知するセンサーや、GPSによる正確な位置制御システム、万が一の際の自動着陸機能など、ドローンの安全技術も飛躍的に向上しています。
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2.ドローンショー開催前に知っておくべき法的規制:事業者を守るための羅針盤
ドローンショーは、既存の法律や規制の枠組みの中で運用する必要があります。特に、公共の場所で多数の観客を集めて開催する場合、安全性を確保し、社会的な混乱を防ぐために、厳格な法的遵守が求められます。ここでは、ドローンショーの開催にあたって、事業者が特に注意すべき主要な法的規制について、詳しく解説します。
2-1.空の安全を守る要:航空法による規制
日本の空の安全を守るための最も重要な法律が「航空法」です。ドローンの飛行に関しては、その飛行場所、高度、時間帯などが細かく規制されており、これらのルールはドローンショーの実施にも例外なく適用されます。
機体登録の重要性: ドローンを屋外で飛行させるためには、重量100g以上の機体は原則として国土交通省への登録が義務付けられています。登録はオンラインでも可能で、機体の種類、製造番号、重量、使用者の情報などを準備する必要があります。登録には通常1~2週間程度かかりますが、市販機体の方が審査期間が短い傾向にあります。未登録の機体を飛行させた場合、罰則の対象となるため、必ず事前に登録を済ませましょう。
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① 飛行許可申請:特定飛行を行うために
航空法では、以下の条件に該当するドローンの飛行を「特定飛行」と定め、これらの飛行を行うためには、原則として国土交通大臣の許可が必要です。ドローンショーは、その性質上、これらの「特定飛行」に該当するケースがほとんどです。
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人口集中地区(DID地区)での飛行: 都市部や住宅密集地など、もしドローンが落下した場合に地上にいる人に危害を及ぼす可能性が高い地域での飛行は、許可がなければ禁止されています。開催予定地がDID地区に該当するかどうかは、国土地理院の地図で事前に必ず確認しましょう。
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夜間飛行: 日没から日の出までの夜間におけるドローンの飛行は、視認性の低下などから安全上のリスクが高いため、特別な許可が必要です。夜間飛行の許可を得るためには、ドローンに夜間でも機体の向きを認識できる灯火(LEDライトなど)を装備し、それを視認できる範囲内での飛行、そして飛行高度と同じ距離の半径範囲内に第三者が立ち入らない措置などが求められます。
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目視外飛行: 操縦者がドローンを直接目で確認できない範囲での飛行も、許可が必要です。広範囲な演出が求められるドローンショーでは、目視外飛行が必要となる場合があります。この場合、補助者を配置し、補助者が常にドローンの位置や状態を監視し、操縦者に安全に関する情報を提供する体制を構築する必要があります。補助者は、必要に応じて双眼鏡や暗視ゴーグルなどの補助器具を使用し、常にドローンを目視で確認できる状態を維持しなければなりません。
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催し場所の上空での飛行: 祭り、スポーツ大会、コンサートなど、多数の人が集まるイベント会場の上空でのドローン飛行は、落下事故のリスクが高いため、厳しく制限されています。ドローンショー自体が「催し」に該当するため、観客の上空を飛行することは原則として禁止されています。例外的に飛行させるためには、プロペラガードの装着、150m未満の低高度飛行、飛行速度と風速の合計が7m/s以下での飛行、観客への周知、立入禁止区画の設定など、厳格な安全対策が求められます。特に150m以上の高度で演出を行う必要がある場合は、原則として禁止されますがドローンメーカーの協力のもと、落下時の安全性を証明する技術的な資料の提出などの安全対策が必要になるなど、より慎重な対応が求められることでしょう。
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150m以上の高度での飛行: 地上または水面から150m以上の高度でのドローン飛行は、有人航空機との衝突リスクがあるため、原則として禁止されています。ドローンショーで高度な演出を行う場合でも、この高度制限を超えることは現状では難しいでしょう。
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空港周辺やヘリポート周辺などの飛行: 空港やヘリポートの周辺空域は、航空機の離着陸に影響を与える可能性があるため、特別な飛行制限が設けられています。これらの空域でドローンショーを開催する場合は、国土交通省の許可・承認に加えて、管轄の航空事務所との綿密な調整が不可欠となります。
重要なポイント: ドローンショーの飛行許可申請は、包括申請ではなく、個別のイベントごとの申請が必要です。申請には、飛行計画、機体の情報、操縦者の技能証明、安全対策などを詳細に記載した書類を提出する必要があります。許可が下りるまでには一定の期間を要するため、余裕をもって準備を進めることが重要です。
② 飛行計画の通報:安全な空域利用のために
航空法に基づき「特定飛行」の許可・承認を得た場合でも、実際にドローンを飛行させる際には、事前に飛行日時、場所、高度、経路、目的などを記載した「飛行計画」を国土交通省に「DIPS2.0(ドローン情報基盤システム2.0)」を通じて通報することが義務付けられています。これは、空域の安全を確保し、他の航空機との衝突を防ぐための重要な手続きです。飛行計画の内容に変更が生じた場合は、速やかに修正または削除の手続きを行う必要があります。
③ 飛行日誌の作成と事故等の報告:責任ある運航のために
ドローンショーを実施した後は、飛行時間、飛行ルート、機体の状況、整備記録などを詳細に記録した「飛行日誌」を作成し、一定期間保管することが義務付けられています。また、万が一、ドローンの墜落や第三者への損害といった事故が発生した場合は、速やかに国土交通大臣にその内容を報告しなければなりません。
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2-2.電波のルールを守る:電波法による規制
ドローンは、無線通信を利用して操縦や映像伝送などを行います。そのため、使用する電波は「電波法」の規制を受けます。無秩序な電波の使用は、他の無線機器との混信を引き起こし、安全なドローン飛行を妨げる可能性があります。
① 無線局免許の取得:必要な場合とは
電波法では、ドローンの遠隔操作に使用する無線機器の種類や周波数帯によっては、「無線局免許」の取得が必要となる場合があります。特に、大規模なドローンショーで、高出力の無線設備や特定の周波数帯を使用する場合は、免許が必要となる可能性が高いです。免許を取得せずに無線機器を使用した場合、電波法違反として罰則が科せられることがあります。
一般的なドローンの場合: 日本国内で販売されている多くのドローンは、免許や登録が不要な「920MHz帯」や「2.4GHz帯」の周波数帯を使用しています。これらの周波数帯を使用する一般的なドローンを、通常の範囲で使用する限り、無線従事者の資格も必要ありません。
注意すべき点: 許可されていない周波数帯を使用したり、大規模なイベントで特別な通信システムを構築する場合は、無線局免許の申請が必要になるため、使用するドローンの無線規格や通信システムを事前に確認することが重要です。不明な場合は、ドローンメーカーや専門の業者に相談することをお勧めします。
② 周波数の管理:混信を防ぐために
複数のドローンを同時に飛行させるドローンショーでは、電波の干渉を防ぐために、各ドローンが異なる周波数を使用するなど、綿密な周波数管理が不可欠です。また、イベント会場周辺で使用される可能性のある他の無線機器(例えば、イベントスタッフの無線機や放送設備など)との周波数調整も必要となる場合があります。
ドローン等に用いられる無線設備について(総務省)https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/drone/
2-3.土地の権利を尊重する:民法による規制
ドローンショーの開催場所によっては、「民法」による規制も考慮する必要があります。民法第207条は、「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」と定めています。
重要なポイント: 他の事業者の所有地や私有地の上空でドローンを飛行させる場合、原則としてその土地所有者の許可を得る必要があります。無許可で飛行させた場合、「所有権の侵害」とみなされ、損害賠償請求を受ける可能性もあります。ドローンショーの開催場所を選定する際には、土地の所有権関係を明確にし、必要な許可を事前に得るようにしましょう。
民法土地の所有権詳しくはこちらhttps://www.kantei.go.jp/jp/singi/kogatamujinki/kanminkyougi_dai16/betten4.pdf
2-4.重要施設の安全確保:小型無人機等飛行禁止法
国会議事堂、首相官邸、皇居、原子力発電所、空港など、国の重要な施設やその周辺約300mの上空は、「小型無人機等飛行禁止法」により、原則としてドローンの飛行が禁止されています。これらの施設周辺でドローンショーを計画する場合は、事前に所轄の警察署に飛行計画を通報し、必要な許可を得る必要があります。
小型無人機等飛行禁止法詳しくはこちら👇
3.ドローンショーを成功させるための安全管理と運営の要諦
法的規制を遵守することは、ドローンショー開催の最低限の条件です。それに加えて、観客や関係者の安全を確保し、イベントを円滑に運営するための万全な体制を構築することが、成功への鍵となります。
3-1.事故を未然に防ぐための措置:安全第一のオペレーション
- 視認性の確保: ドローンショーでは、観客がドローンの動きを十分に楽しめるように、適切な視認距離を確保する必要があります。一般的には、1km以上離れすぎず、かつドローンの動きがはっきりと視認できる範囲内で開催場所を設定することが望ましいといわれております。
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飛行エリアと観客席の分離: ドローンが飛行するエリアと観客席の間には、十分な安全距離を確保することが最も重要です。万が一の機体落下時にも、観客に被害が及ばないように、広めの立入禁止エリアを設定しましょう。近年では、飛行範囲をあらかじめ設定し、機体がその範囲を超えないように制御する「ジオフェンス」機能を持つドローンや、それを活用した安全対策も普及しています。
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バックアップ体制の構築: ドローンのバッテリー切れ、通信トラブル、機体の故障などは予期せぬタイミングで発生する可能性があります。そのような事態に備え、予備の機体、バッテリー、通信機器などを準備しておくことが重要です。
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緊急時対応計画の策定と共有: ドローンが制御不能になった場合や、落下した場合など、緊急時の対応手順を事前に詳細に計画し、関係者全員で共有しておく必要があります。緊急連絡先、避難経路、応急処置の方法などを明確にしておきましょう。また、電波途絶などの不具合発生時に、自動的に離陸地点に戻る「自動帰還機能(RTH)」や、その場でホバリングを維持する「フェールセーフ機能」が正常に作動するかを事前に確認することも重要です。
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関係機関との緊密な連携: ドローンショーを安全かつ円滑に実施するためには、地元の自治体、警察、消防署などの関係機関との事前の協議と連携が不可欠です。イベントの概要、安全対策、緊急連絡体制などを共有し、協力体制を構築することで、万が一の事態にも迅速かつ適切に対応できます。特に、大規模なイベントでは、周辺住民や交通機関への影響も考慮し、事前に十分な情報提供と調整を行うようにしましょう。事故やトラブル発生時の報告先一覧を作成しておくことも有効です。
3-2.円滑なイベント運営のためのポイント
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明確な役割分担: ドローン操縦者、安全監視員、観客誘導スタッフ、広報担当など、イベントに関わるすべてのスタッフの役割を明確にし、責任の所在を明らかにしておくことが重要です。
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観客への情報提供: イベントの内容、注意事項、緊急時の対応などを、事前にウェブサイトや会場アナウンスなどを通じて観客に周知徹底しましょう。特に、ドローンの飛行エリアや立入禁止エリアについては、分かりやすく表示する必要があります。
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開催時間の遵守と回数制限: ドローンショーの開催時間や1日あたりの開催可能回数は、会場ごとに許可条件が異なる場合があります。事前に会場管理者や関係機関に確認し、許可された範囲内で計画を立てるようにしましょう。
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天候への備え: ドローンは雨に濡れると正常な動作が困難になる可能性があり、風速5m/sを超えると安定した飛行が難しくなります。また、極端な低温は観客の体調不良を招く恐れもあります。開催日の天気予報を事前に確認し、悪天候が予想される場合は、中止や延期を検討することが重要です。特に、天候が変わりやすい時期の開催はリスクが高いため、比較的安定した気候の時期を選ぶと良いでしょう。
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天候不良による中止時の対応: ドローンショー当日、予期せぬ天候不良により中止せざるを得なくなった場合の費用負担については、事前に主催者と委託業者間で明確に合意しておくことが重要です。契約内容によっては、準備にかかった費用や一部キャンセル料が発生する場合があります。
ドローンショーの企画・運営においては、上記の対策に加えて、以下の点も考慮に入れると、よりスムーズなイベント運営につながります。
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保険への加入: ドローンショーの実施に際して、万が一の事故に備え、適切な賠償責任保険に加入しておくことを強く推奨します。
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著作権・肖像権への配慮: ショーで使用する音楽や映像、デザインなどが著作権や肖像権に抵触しないか、事前に確認し、必要な手続きを行うようにしましょう。
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騒音対策: ドローンの飛行音は、周辺住民にとって騒音となる可能性があります。飛行時間帯や飛行ルートを工夫するなど、騒音対策にも配慮が必要です。
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最新情報の収集: ドローンに関する法規制や技術は常に変化しています。国土交通省や関係省庁のウェブサイトなどを定期的に確認し、最新の情報を把握するように努めましょう。
結論:法規制を理解し、安全対策を徹底することで、感動的なドローンショーを実現しよう
ドローンショーは、技術と芸術が融合した、他に類を見ない魅力的なエンターテイメントです。その可能性は無限大であり、今後ますます多くの場所で、この新しい光の祭典が繰り広げられることが期待されます。
しかし、その実現には、航空法や電波法をはじめとする様々な法的規制を理解し、遵守することが不可欠です。また、観客や関係者の安全を確保するための 綿密な準備と、関係機関との連携も成功の重要な要素となります。
この記事が、ドローンショーの開催に向けて 法的な疑問や不安を抱えているドローン事業者の方々にとって、一筋の光となり、具体的な行動への第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
私たちドローン専門の行政書士は、ドローンショーの企画段階から、必要な許可申請、安全対策のアドバイス、関係機関との調整など、あらゆる面から皆様のドローンショー開催をサポートいたします。もし、少しでも不安なことや疑問点があれば、お気軽にご相談ください。共に、安全で感動的なドローンショーを成功させましょう!
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