
【山岳ドローン飛行の完全ガイド】許可申請・注意点・最新規制を行政書士が徹底解説
「雄大な山々をドローンで空撮したい!」 「林業の現場でドローンを活用したいけど、何に注意すればいいんだろう?」
近年、山岳地帯でのドローン活用に関心が高まっています。しかし、広大な自然の中だからといって、自由にドローンを飛ばせるわけではありません。むしろ、山岳地帯特有の注意点や、平地とは異なる許可申請の手続きが存在します。
本記事では、山でドローンを安全かつ 適法に飛行させるために必要な許可申請、注意点、そして最新の規制について、ドローン専門の行政書士が徹底的に解説します。
この記事を読むことで、以下のメリットを得られます。
- 山岳地帯でのドローン飛行に必要な法規制と手続きを正確に理解できる。
- 国有林、民有林(公有林・私有林)といった山の所有形態に応じた対応がわかる。
- 入林届の正しい理解と提出方法を習得できる。
- 山岳地帯特有の飛行リスクと安全対策を把握できる(高度、風、鳥、GPSなど)。
- 万が一の墜落時の対応について事前に備えることができる。
私たちドローン専門の行政書士が、安全で円滑な山岳ドローン活用を全力でサポートします。
山でドローンを飛ばすには許可が必要?所有形態ごとの手続き
山林は、その所有形態によって手続きが大きく異なります。
無許可での飛行は法律違反となる可能性があるため、必ず事前に確認と手続きを行いましょう。
国有林:所管の森林管理局への「入林届」の提出
国有林とは、国が所有する山林です。
国有林でドローンを飛行させる場合、全国共通のルールとして、所管の森林管理局に**「入林届」**を提出する必要があります。
「入林届」のポイント
- 許可書ではない
入林届は、あくまで「この山林で飛行させますよ」という届出書(報告書)のようなものです。受理されたからといって、飛行が許可されたわけではない点に注意が必要です。
- 記載事項:
入林場所、期間、目的、飛行場所と経路・日時・目的・飛行高度、入林者名簿、注意点の確認などが含まれます。
- 提出先
飛行予定の国有林を管轄する森林管理署です。管轄の森林管理署は、林野庁のウェブサイトから確認できます。
- 提出時期
飛行予定日の1~2週間程度前が目安です。
- 提出方法:
持ち込み、郵送、メールが可能です。
返信が必要な場合は、返信用封筒(切手貼付)またはメールアドレスを記載しましょう。
- 飛行前の連絡
入林する前に、届け出た森林管理署等に連絡することが推奨されています。
重要な注意点
森林管理局への事前の連絡や、国有林内の事業実行、一般入林者の状況によっては、飛行場所や日時の変更を求められることがあります。
関東森林管理局サイトhttps://www.rinya.maff.go.jp/kanto/apply/nyurin/mujinkoukuuki_300605.html

民有林:所有者の許可が必須(公有林・私有林)
国有林以外の山林は民有林と呼ばれ、さらに公有林(都道府県や市区町村などが所有)と私有林(個人や企業が所有)に分けられます。
民有林でドローンを飛行させる場合、原則としてその山林の「所有者の許可」が必要となります。航空法の飛行許可・承認を得ていても、所有者が「NO」と言った場合は飛行できません。
公有林での手続き
- 管理主体である都道府県や市区町村の役所に問い合わせ、ドローン飛行に関する手続きを確認します。手続きは自治体によって異なるため、指示に従って進めましょう。
私有林での手続き
- 登記上の所有者(法人または個人)を特定し、個別に許可を得る必要があります。一つの山に複数の所有者がいるケースも多く、所有者の特定には相当な労力がかかる場合があります。
- 地域によっては、観光協会などの法人団体が私有林一帯を管理している場合があり、これらの団体に問い合わせることで許可を得やすくなることがあります。費用が発生する場合もありますが、情報収集や調整を考えると有効な手段です。
重要な注意点
私有林でのドローン飛行は、所有者との個別の交渉が必要となるため、計画に十分な時間を確保しましょう。
国有林の場所を調べるには?
国有林でドローンを飛行させる場合、「入林届」の提出先となる森林管理署を調べる必要があります。また、そもそも飛行を予定している場所が国有林なのかどうかを確認することも重要です。以下の方法で国有林の場所を確認することができます。
1国土地理院のウェブサイトで確認する
国土地理院の地図閲覧サービスでは、地図上に国有林の範囲が緑色で示されています。大まかな位置を把握するのに役立ちます。

2林野庁のウェブサイトで確認する
林野庁の各森林管理局のウェブサイトでは、「国有林野施業実施計画図」などが公開されており、より詳細な国有林の位置関係を確認できます。飛行を予定している都道府県を管轄する森林管理局のウェブサイトを確認しましょう。
3森林管理署に直接問い合わせる
上記の方法で場所を特定できない場合や、より詳細な情報を知りたい場合は、飛行を予定している場所を管轄する森林管理署に直接問い合わせるのが確実です。管轄の森林管理署の連絡先は、林野庁のウェブサイトで確認できます。
重要なポイント
国土地理院の地図で大まかな場所を把握し、林野庁の計画図で詳細を確認した上で、不明な点は管轄の森林管理署に問い合わせるのが効率的な調べ方です。
山岳地帯でのドローン飛行における4つの重要注意点
山岳地帯でのドローン飛行は、平地とは異なるリスクが存在します。安全に飛行させるために、
以下の点に十分注意しましょう。
1. 高度150m以下の空域での飛行を原則とする
航空法では、高度150m以上の空域でのドローン飛行は原則として禁止されており、飛行させるためには国土交通省への個別申請による許可が必要です。包括申請では許可されません。
山岳地帯では、**「地表または水面からの高さ」**が航空法上の高度となるため、山の斜面に沿って飛行する場合、意図せず150mを超過してしまうリスクがあります。
対策
- 飛行計画は、山の起伏を十分に考慮し、高度150mを超えないように慎重に立案する。
- ドローンの高度計だけでなく、目視による高度確認も徹底する。
また、山岳地帯でのドローン飛行においても、事前に国土交通省の「包括申請」を取得しておくことを強く推奨します。
包括申請とは、特定の期間(通常1年間)、日本全国の広い範囲で、特定の飛行方法(例:DID上空、夜間飛行、目視外飛行、人又は物件との距離が30m未満での飛行など)について、個々の飛行ごとに許可・承認を得る手間を省くことができる制度です。
山岳地帯ではDID地区の必要性は低いと思われますが空撮や測量などの業務では、目視外飛行や夜間飛行が必要になるケースも考えられます。
さらに、人又は物件から30m以上の距離を確保できない飛行、山岳地帯においては、「物件がない」と安易に判断することは非常に危険です。
確かに開けた山頂や尾根などでは人物との距離を確保しやすいかもしれませんが、橋梁、送電線、電柱、電波塔、山小屋、作業小屋、あるいは他のドローン操縦者や見学者など、予期せぬ物件や人物が存在する可能性が常にあります。
急峻な地形や樹木によってこれらの存在に気づきにくい場合もあるため、平地以上に慎重な飛行と安全対策が求められます。
包括申請で「30m未満の飛行」の許可を得ていない場合は、これらの物件や人物に近づかないよう、常に十分な距離を確保して飛行する必要があります。
ドローン高度制限解除!150m超え空撮許可の取り方はこちらの解説もあわせてご覧ください👇
目視外飛行・夜間飛行の必要な方は包括申請の詳しい解説もご覧ください👇
2. 山特有の風(山風・谷風・上昇気流)に注意する
山岳地帯は、地形の影響で風の向きや強さが変わりやすく、突風などの急な気象変化も起こりやすい環境です。
対策
- 飛行前に最新の気象情報を必ず確認し、強風注意報などが発令されている場合は飛行を中止する。
- 山風(山から吹き下ろす風)、谷風(谷から山頂へ吹き上げる風)、上昇気流といった山特有の風の特性を理解し、飛行ルートを慎重に計画する。
- ドローンの最大風圧抵抗を確認し、無理のない範囲で飛行させる。
- DJI製ドローンのように、強風警告機能がある機種を活用するのも有効です。
3. 縄張り意識の強い鳥に注意する
山林には、縄張り意識の強い鳥が生息しており、特に繁殖期の春から夏にかけては、ドローンを攻撃してくることがあります。
カラスやトンビなど、大型の鳥はドローンを墜落させるほどの力を持つため、注意が必要です。
対策
- 飛行中は周囲の鳥の動きに常に注意を払い、鳥が近づいてきた場合は速やかにドローンを着陸させるか、その場から離れる。
- 鳥は急降下が得意ですが、急上昇は苦手なため、危険を感じたら一旦急上昇して退避するのも有効です。
- 鳥の巣の近くや、希少な野生生物の生息地では、飛行を避けるなど、環境保護にも配慮した飛行を心がけましょう。
4. GPSの受信状況に注意する
山や渓谷は、地形の影響でGPSの電波が遮られやすく、受信が不安定になることがあります。GPSを受信できない状態でドローンを飛行させると、機体が風に流されたり、制御不能に陥り、**ロスト(紛失)**する危険性が高まります。
対策
- 飛行前に、複数の場所でGPSの受信状況を確認し、安定した受信が確認できる場所でのみ飛行させる。
- GPSの受信が不安定な場所では、目視内飛行を徹底する。
もしも山でドローンを墜落させてしまったら?
山岳地帯でのドローン墜落は、機体の捜索が困難を極めるだけでなく、森林火災の原因となる可能性もあります。
墜落させてしまった場合は、以下の対応を迅速に行う必要があります。
- 墜落した山林の所有者・管理者への連絡
速やかに状況を報告し、指示を仰ぎます。
- 警察への遺失物届
不法投棄とみなされないように、警察に届け出を行います。
- 国土交通省への事故報告
ドローンの墜落は、国土交通省への報告義務があります。DIPS2.0(ドローン情報基盤システム)から報告を行いましょう。
- 保険会社への連絡
加入しているドローン保険に連絡し、状況を説明します。未回収の場合は保険が適用されない可能性もあります。
- 可能な限りの機体回収
墜落した機体の回収は操縦者の義務であり、放置すると廃棄物処理法違反となる可能性があります。
アプリの墜落位置情報などを参考に、あらゆる手段で回収を試みてください。
重要な注意点
人が関わる事故が発生した場合は、何よりも人命救助を最優先に行動してください。
まとめ:山岳ドローン飛行は慎重な準備と安全対策が不可欠
山岳地帯でのドローン飛行は、息をのむような絶景を捉えることができる一方で、特有の法規制やリスクが存在します。
安全かつ 適法に飛行を楽しむためには、以下の点をしっかりと理解し、準備を怠らないようにしましょう。
- 山の所有形態(国有林・民有林)に応じた適切な許可申請手続きを行う。
- 国有林の場合は**「入林届」**の提出が必要(許可書ではない)。
- 高度、風、鳥、GPSといった山岳地帯特有の飛行リスクを理解し、対策を講じる。
- 万が一の墜落に備え、関係機関への連絡と機体回収を徹底する。
私たちドローン専門の行政書士は、山岳地帯でのドローン飛行に関する皆様の疑問や不安を解消し、安全で有益なドローン活用をサポートいたします。手続きや法規制に関してご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。
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読者へのメッセージ: 山岳地帯でのドローン飛行は、素晴らしい体験をもたらしますが、自然の厳しさや法規制を理解し、慎重な準備と安全対策が不可欠です。本記事が、皆様の安全で充実した山岳ドローンフライトの一助となれば幸いです。ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。







